むしむしブログ

タグ:奈良学園

 奈良学園小学校で出張授業をするのは3回目。その他にもSDGs関連学習卒業遠足などで糞虫のお話をしているので、奈良学園小学校の子供たちの糞虫に関する関心と知識のレベルは日本一だと思います。まぁ、糞虫の聖地である「奈良」の名を冠する小学校ですから、当然かもしれません⁉
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 奈良学園小学校の理科室は、大型モニター2台にPC画面を鮮明に表示させて授業ができるほか、HDMI接続しているビデオカメラと簡単に画面切換ができるので、今回はフンコロガシ(スカラベ・サクレ)の糞玉作りや糞玉転がしの様子を動画で紹介することができました。さらに子供たち2人に1台の実体顕微鏡が用意されている(!)ので、前回(2021年9月)に続き今回も米粒サイズのマグソコガネの仲間の種の同定にもガチでチャレンジしてもらいました。顕微鏡の基本操作や糞虫の種の同定のポイントを学ぶとともに、顕微鏡を覗く楽しさや同定の難しさを肌で感じてもらえたと思います。
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 以前もこのブログに書いたことがあるのですが、奈良市内の小学校は毎年「糞虫学習」を実施すべきですね、マジで。今回、NHKテレビと新聞社(奈良新聞、産経新聞)がこの出張授業の取材に来たのは、この小学校の取り組みが「環境」について深く学ぶ「奈良らしい」好事例で、子供たちが糞虫を通して奈良の自然や生き物への関心を高めるのに適した内容だと思ったからではないでしょうか。ならまち糞虫館では、今までに小学校の子供たちだけでなく中学・高校の学生や先生を対象にした講演会や観察会も積極的に実施していますが、まだ活動は途に就いたばかりです。糞虫館の開設時から掲げるmission(使命)は「糞虫の面白さを通して、自然に関心を持ってもらう」。子供やそのご両親、さらにお爺ちゃんお婆ちゃんにも「糞虫っておもしろい!」と感じていただけることがすべての出発点と肝に銘じ、これからもフン虫王子としてガンバリマス。
 NHKテレビは当日9/8のお昼のNHKニュースで放送されたようですが、夕方6:30の「ならナビ」でも放送されました。放送後1週間はNHK+(プラス)という見逃し配信サービスで無料で見ることができます。ならナビは午後6:30からですが、午後6:37~6:39が「小学生が奈良公園のふん虫学ぶ」です。新聞を買いそびれたので未確認ですが、奈良新聞には9/9に掲載されたそうです。
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今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)は全国の書店で好評発売中!

 ようやくwithコロナへと舵が切られましたが、学生時代の最重要行事と言っても過言ではない修学旅行や卒業旅行に行けなかった子供も多かったと思います。出張授業にも行っている奈良学園小学校の今年の卒業遠足の行先は、ならまち糞虫館。普通は「ありえへーん!」という子供たちの声が聞こえてきそうですが、実は奈良学園小学校ではコースが選択制になっていて ➀ものづくりコース、➁自然コース、③産業コースの3つから好きなコースを選べるのです。で、なんと6年生55人中20人が糞虫館へ行く➁自然コースを選んでくれたのです!嬉しい!!しかも約半分が女子。昆虫=男子という固定概念が染みついた我々オジサン世代こそがしっかり時代の変化についていかなくては。
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 まあ、実際に糞虫館で過ごす時間は30分程で、メインは世界遺産の元興寺でお話を聞いたり国宝館の見学、そして天皇陛下も宿泊されたあの奈良ホテルでテーブルマナー講習を受けながらの昼食会。いいなー。そういえば一昨年、奈良学園小学校への初めての出張授業で糞虫館の実体顕微鏡6台を持ち込んで授業をしたのですが、昨年は学校側が生徒2人に1台準備しており、さらに先生用に大型モニターに映し出す装置まで設置されていたのを思い出しました。恵まれてますねー。
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 HPを見ると、奈良学園小学校の生徒数は323名。糞虫の出張授業を一昨年受けた子(現4年生)が62名、昨年(現3年生)は57名、今回6年生の卒業遠足で20名、計139名となり、なんと43%の生徒が私の糞虫講演を聞いたことになります。奈良女子大附属小学校も受講率はかなりの割合になっていると思いますが、まだまだ多くの小学校とはご縁がありません。私は、糞虫の聖地・奈良公園のある奈良市内の全ての小学校で糞虫の出張授業を毎年やりたいと思っています。SDGsとか生物多様性とか外来種問題とか、こういった世界が直面する課題について、糞虫を通して深く理解することができると考えています。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!
  

 半年前の3月、奈良学園附属小学校の6年生のグループが卒業遠足でならまち糞虫館に来てくれたのですが、その時に引率で同行された理科の先生と意気投合し「奈良公園でこんなに重要な役割を果たしているおもしろい虫がいる事を子供たちが知ったら絶対興味持つよねー」などと話をしてました。それだけで終わらないところがこの学校のいいところで、7月早々に出張授業の依頼が来たというわけです。
 糞虫館をオープンさせて3年、これまでいろんな場所で糞虫のお話をしてきた私ですが、質問が一番多かったように思います。しかも鋭い質問ばかり。答えるのに相当苦労しました。仕返し(!)ではないですが、授業の終盤で小さなマグソコガネの仲間を実体顕微鏡で観察してもらい、種の同定までしてもらいました。何人かは正解しましたが、これはさすがにかなり難しかったようです。
 授業は4コマ分(2コマ×2回)で半日だったのですが、終わるともう、クタクタでした。これを毎日やっている先生のタフさに今頃になってようやく気付きました。本当に尊敬しちゃいます。
 以下が、振り返りの時間で出てきた子ども達からの質問です。

 糞虫に関する、子どもたちから出た質問(と、私からのお返事)
➀なんで糞虫は、ほかの虫とちがってフンをたべるようになったのかな?
→みんなが同じものを食べると不足したりケンカになるからじゃないかな。
➁なんで糞を食べるのに、オオセンチコガネはあんなにきれいな色に光っているのかな?
→タマムシは葉っぱ(幼虫は朽木)を食べるのに、とってもキレイな色に光っているのと同じだよ。
③なんで奈良のオオセンチコガネだけ青色なの?何が色を決めてるの?
→ん-、難しい・・・
④糞虫は、ふんを食べていてくさくないのかな?
→納豆が好きな人に「納豆を食べていて臭くないの?」と聞いてみるといいかも。
⑤糞虫のふんを食べる糞虫もいるのかな?
→糞虫の糞を集めて、違う種類の糞虫に食べさせてみよう!アオスジアゲハの幼虫の糞を集めて練って与えると、オオセンチコガネがむしゃむしゃ食べたという観察記録があります。
⑥なんで同じフンを食べる仲間でも、コガネムシの仲間じゃないと糞虫とよばれないの?
→虫の研究者の多くがそのように考えているから。例えばハエのことを、糞虫の研究者もハエの研究者も「糞虫」とは呼びません。
⑦同じフンを食べている糞虫には大きさ以外にも共通点はあるのかな?
→共通点はないのかな?
⑧糞虫はフン以外に何も食べないのかな?
→腐ったキノコや鳥の羽毛などを食べる話、特別授業で紹介しなかったっけ?

そう簡単に答えられる質問ではありません。うまい返答が浮かばないまま、もう2週間が経過してしまいました。申し訳ない。

今日はここまで。
今週末に糞虫館で会いましょう! 

 昨日、奈良学園小学校から8人のグループ2組がSDGsの学習でならまち糞虫館に来てくれました! 奈良町のいろんな施設をグループごとに選択して訪問し、そこでSDGsへの理解を深める狙いのようです。滞在時間があまりとれないので、いつものようなトーク&スライドショーで熱弁をふるえなかったのですが、子供たちはペンライトや虫メガネを手に虫を興味深そうに見てました(写真1~3枚目)。小さなチビコエンマコガネのツノをしっかり見つけた子、オスメスの見分け方を質問してきた子、コメ粒サイズの冬のマグソコガネを顕微鏡で見比べていた子、みんな思い思いに糞虫を楽しんで関心を持ってくれたので、こちらとしては本当に良かったと思っています。まあ、先生方は「楽しかったねー」で終わらせるわけにはいかないのでしょうから、この後が大変なのかもしれませんが・・・。
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 糞虫は、もちろん自然環境保護や種の多様性、物質の循環等の良い題材になりますが、奈良公園の糞虫の場合はさらに観光産業など経済への影響や人と生き物の関わりを考えるときにもイメージしやすい題材になると考えています。SDGsの目標「15.陸の豊かさも守ろう」に示された9項目のターゲットに囚われることなく、今回の糞虫館訪問が次世代を担う子供が自分の頭で身近な問題として自然や環境について考えるきっかけになれば嬉しいですね。

今日はここまで。
週末、糞虫館で会いましょう!

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