むしむしブログ

タグ:標本

 奈良の新観光名所、穴場スポットとして徐々にメジャーな存在になりつつある(⁉)ならまち糞虫。「東京から来ました!」という方も珍しくありません。でも、やっぱり遠いので来れない人も多いはず。だったらこっちから行きましょう、というわけで『たくましくて美しい糞虫図鑑』を世に送り出してくれた創元社さんが、東京の神保町にあるこどもの本専門店「ブックハウスカフェ」のイベントホールを無料で使わせていただけるように手配してくれて、今回の「糞虫話&糞虫標本作り体験」イベント開催が決定したわけです。4組の親子のほか教育関係の方など計10名が参加してくださいました。
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 これまで出張授業や講演会等は何度も開催していますが、映像や完成標本を使いながらお話するパターンがほとんどで、標本作りを子供に実際に体験してもらうのは全くの初めてだったのです。子供たちも標本作りは初めてだったので、私は椅子に座る間もないほど忙しかったのですが、最初は「虫は少し苦手」と言っていた子も「カワイイ!きれい!」を連呼して最後はニコニコ顔で帰っていきました。今回は、整ったきれいな標本をつくることよりも、脚を整えたり触角を針先で引き出すことを通して虫の体の構造や関節の動き方などをよーく観察してもらいたかったんです。あんまり私が手を出さなかったのは、子供が自分で虫をいじくっているうちに、足がどのように体についているのか(胸に6本の脚があるか?)、脚は自由に動くけど曲がる向きは決まっている、裏面には毛がいっぱい生えている、背中側だけでなく腹側もキレイな瑠璃色、などなど子供達は次々に新しい発見をしていくから。この日ほど虫に顔を近付けて脚や触角と格闘(=観察)したことはないんじゃないかな。
 最後は針を外して最初の状態に戻して家に持って帰ってもらったので、家で再度展脚して乾燥させてラベルを付けて最終的に標本として完成させられるかどうか。もしかしたらバラバラになって、ゴミ箱に捨てられるかもしれませんが、それでもこのイベントのために犠牲になった4匹のルリセンチコガネ(オオセンチコガネ)の死は無駄ではなかったと確信しています。最近では夏休みの宿題に「昆虫採集」は出なくなったようですが、虫を自分で捕まえて標本にすることで、実際には教科書に書かれている事の何倍もの知識が体験という形で脳ミソに刻まれているんですけどねー。まあ、宿題という形になるとやらされてる感が先立ってイマイチかもしれません。
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 最後になりましたが、こどもの本専門店ブックハウスカフェは雰囲気も品ぞろえもサイコーに楽しめる本屋さんです。衰退産業と言われる本屋さん業界ですが、自分たちの存在意義は何なのか?を常に考え時代に適応しつつ進化してきたようです。しっかり見習って、糞虫館も進化しないといかんな。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

 『月刊むし』の「今月の虫」のコーナーで標本にまつわることをエッセー風に書いたのですが、それに感動(?)したあの河原氏が素敵なプレゼントを持って、ならまち糞虫館に来てくださいました。「あの河原氏」でピン!ときた人は相当の糞虫ファンですね。そうです、あのむし社「糞虫本3部作」(糞虫館でも定価で好評販売中!)すべてに深くかかわった河原正和氏です(『日本産コガネムシ上科図説』の著者の一人でもあります)。そのプレゼントがこれ(写真1枚目)。
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 さすがに年代を感じさせますが、まぎれもなく1947年10月9日にウエズミ氏によって採集された奈良公園(奈良・春日山)のヤマトエンマコガネ(Onthophagus japonicus)です。この標本はその後、日本糞虫界の重鎮で日本列島糞虫記などでも有名な塚本珪一先生の手に渡り、さらに糞虫界を牽引するコガネムシ研究会の河原氏のもとで保管されていたものなのです(写真2枚目)。
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 ならまち糞虫館はオープンしてまだ1年半ですが、何とかあと27年間維持して、このヤマトエンマコガネの100歳のお誕生日を祝ってやりたいと思います。その頃は奈良公園の糞虫達はどうなっているでしょう?ヤマトエンマコガネが復活しているかも!? 少なくとも、ヤマトエンマコガネや最近のクロツブマグソコガネのように「昔はたくさんいたんだけどなー」とならないことを祈らずにはいられません。いや、祈るだけではダメですね。行動せねば。

今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!
 

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