一般に昆虫は冬になると活動をやめて、目立たないところで目立たない姿でじっとしていることが多く、糞虫も例外ではありません。11月を過ぎると、比較的大きいセンチコガネやエンマコガネの仲間が見つけにくくなり、日本一の糞虫の生息地と言われる奈良公園においても、糞虫の観察は春までお休み・・・なのでしょうか? 
 実は冬が近づいてくると、暖かい季節には見ることができない「冬の糞虫」が静かに活動を開始しているのです。奈良公園で多く見られる「冬の糞虫」は、マグソコガネの仲間の中でも小型のネグロマグソコガネやチャグロマグソコガネ、ミゾムネマグソコガネ、やや数の少ないオビモンマグソコガネ(写真1枚目)、ひと回り大きいマグソコガネやイヌ糞大好きセマダラマグソコガネの計6種類。暖かくなって他の糞虫が活動を始めるといつの間にかいなくなってしまうので、寒い時期に観察したい糞虫たちです。
P3010736

 ところで、冬の糞虫は、時には氷点下にもなる奈良公園で元気に動き回る特殊な能力があるのでしょうか?凍らないように体内に脂肪を蓄えているとか、低温下でもよく働く消化酵素を持っているとか、何かが違っていると思うのですが・・・。さすがにこれは小学生の研究テーマとしては難しいと思うので、高校生か大学生あたりに頑張ってほしいですねー。春~秋の糞虫が冬に活動できない理由を調べるというアプローチも面白いかも、です。昆虫は、冬は葉っぱや樹液等の食べ物がなくなるので活動しないと考えると、シカ糞は冬でもあるので糞虫は食べ物に困らないのでは?なのに、なぜ春~秋の糞虫たちはいなくなるのか? 小学3年生の矢野さんの糞虫研究のレポートに触発されて、ひとりで盛り上がっている今日この頃です。

今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!