むしむしブログ

タグ:FIT

4年ほど前からFITを仕掛けるようになってムネアカセンチコガネを採集することができるようになり、今ではならまち糞虫館の標本箱にも何匹かのムネアカセンチコガネの標本が並ぶようになりました。ただ、採集日は5~6月、9~10月のラベルばかり。『日本産コガネムシ上科図説』(監修:コガネムシ研究会)によると出現期は5~11月となっています。盛夏の頃(7~8月)もいるのかもしれないけれど、誰かから「春か秋がいいよ」と聞かされて、その時期にFITを仕掛けたら採集できたもんだから、夏にFITを仕掛けたことが無いのです。めちゃくちゃ暑い7~8月にムネアカセンチコガネは活動しているのか?自分の目で確かめてみないとね。
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 もう一つ「ムネアカセンチは夕方に飛ぶ」っていう都市伝説。私はこれを「夕方にしか飛ばない」と捉えていました。なのでFITの回収は、ムネアカセンチコガネが溺れて死なないように毎日日没後に見て回り、水盤でもがいているまだ元気なムネアカを見て「やっぱりまだ落ちたばかりだから元気だ」って思ってたのです。ところが、昨晩見回った後、今日は都合で昼過ぎにまた見回ったところ、ムネアカが水盤でもがいてました(写真1枚目)。午前中に落ちたようです。「夕方によく飛ぶけど午前中にも飛ぶ」みたいですね。「糞虫は糞を食べる(けど糞以外のものも食べる)」のと同じ。
 私が学生の頃はインターネットなんかなかったし、専門家の方に質問するのも手紙なので字が下手で人見知りする私にはできませんでした。僅かな情報から想像を膨らませて採集場所や時期を考えては、空振りを繰り返してました。今はたくさんの質の良い情報が簡単に得られるので、いい時代になったもんだと思います。ただ、新しい生息地の開拓や習性の発見には意識的に取り組まないと、見聞きした知識だけで分かったような気になってしまうんじゃないか、なーんてジジ臭いことを考えてしまう今日この頃です。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
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 昨年の秋、大学生(←糞虫界のプリンス 中谷君)に勧められて生まれて初めてFITに挑戦。今まで40年間死骸しか拾ったことがなかったムネアカセンチコガネが何度もFITに落ちて、すっかりFITにはまってしまいました。その後、アカマダラセンチコガネまでFITで採ることができたので、もうビックリでした。で、まだ時期が早いかなーと思いながらも、採れないことも貴重なデータだと自分に言い聞かせて、先週23日に昨年の秋と同じ場所にFITを仕掛けて、毎日夕方に見回り、27日に撤収しました。
 結果は以下の通り。
 1 ルリセンチコガネ    1匹
 2 アカマダラセンチコガネ 3匹
 3 フトカドエンマコガネ  3匹
 4 ニッコウコエンマコガネ 20+匹 
 5 クロツヤマグソコガネ  2匹
 6 コツヤマグソコガネ   1匹
 7 クロツブマグソコガネ  1匹
 8 ネグロマグソコガネ   1匹
 9 ヒメコブスジコガネ   1匹

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 ルリセンチコガネはたまたま1匹しか落ちませんでしたが、周りのシカ糞の塊には6匹も来てましたし(写真1枚目)、飛んだり歩いたりしているところを何匹も見かけており、たくさん出ています。

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 アカマダラセンチコガネは、いずれもお天気の良くて風の弱い日中にFITに落ちました(写真2枚目)。気温が20℃を超えるこの時期にしては少し暖かい日でしたが、昨年秋の記録も10月中旬に2匹なので、人間にとって心地よい時期がこの虫も好きなのかもしれません。
 FITは、毎日見回れば、溺れて死んでいるように見えるコガネムシの仲間はたいてい息を吹き返すので、記録したあと放せばいいのですが、ハエやハチ、バッタなどは救えません。年のせいか、少し気が咎めます。まあ、子供の頃から今までに数千匹もの生き物の命を奪ってきた私が、いまさら善人ぶっても仕方ありませんけどね。

今日はここまで。
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 ムネアカセンチコガネをとらえる術を身に着けたとたん「ムネアカセンチコガネは意外に身近にいるんですよ」なーんてエラそうに言うようになった自分が怖いんですが、これは人間性の問題ではなく、たんにFlight interception trap (FIT) という採集方法をやるかやらないかの違いだけですね。といいつつも、なんか自分の採集技術が大きくレベルアップしたような気がします。そりゃー40年間で死骸2個しか見つけられなかった虫を半月で10匹捕まえたのですから。
 この魔法のようなFITは、狙う虫によっていろんなタイプがあるようですが、最初に考えた人はスゴイ!糞虫に使い始めた人は本当にエライ!と思います。私なんて糞ばかりを追いかけてきたので、糞に来ない糞虫には出会えるわけないんですよねー。もちろん、この採集方法もいいことばかりではないんですが、とにかく実物を捕まえて観察しないと何も始まりませんから。
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 前置きが長くなりましたが、実は10/12昼頃設置したFITを暗くなってから見に行ったら、エンマコガネが1匹水盤に浮いていました。大きさはカドマルエンマコガネよりやや小さい感じで、なぜか滑って少しつまみにくかったのを覚えています。息を吹き返して動き回る姿をフィルムケース越しに見てもエンマコガネと思っていましたが、ふたを開けてみると胸や前翅に薄汚れたような肌色の模様が・・・(写真1枚目)。
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 ヤマトエンマコガネ?いやいや、ツヤがないし色も違うし、あれー、毛むくじゃらだなー(写真2枚目)。で、顔をよく見ると大きな牙が見えた(写真3枚目)のでようやく →あ、センチコガネ?! →アカマダラセンチコガネだ!! とわかりました。
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 FIT回収時すでに暗くなっていたので、普通のエンマコガネと思ったものの念のためその場で解放せずに持ち帰ったのは、持って生まれた”運”の強さかもしれません。ムネアカセンチコガネに続く「自分史上初」の世紀の大発見につながりました。以前、糞虫界のプリンスこと中谷君が、この場所に仕掛けたFITで1匹採れたよと教えてくれていたおかげです。ありがとー!
 何を餌にして飼えばいいのかわかりませんが、昆虫ゼリーで様子を見てます。うまく生きていれば今週末、糞虫館で生きたアカマダラセンチコガネとムネアカセンチコガネを見ることができます。

今日はここまで。
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 40年間追い求めていたムネアカセンチコガネが続けざまに簡単にFITに落ちたので、そのあまりの効果にちょっと怖くなって、それに台風も来ていたので、10/2に撤収した後、しばらく使っていませんでした。
 10/12に再度FITを仕掛けに行ったのですが、その時に前回撤収漏れしていたFITがひとつ、そのまま台風にも飛ばされずに残っていて、なんとその水盤にムネアカセンチコガネが6匹沈んでいたのです。その他にオオセンチコガネ2匹、センチコガネ2匹などで、状態がかなり悪くなっていたので、台風が接近する前に落ちたと思われます。
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 FITは出来れば半日か1日に1回見回るのがいいと考えています。この間隔であれば、水盤の中で死んだように硬直した糞虫でも、大抵は翌日になると何事もなかったかのように動き回っています。無駄な殺生が避けられますし、糞虫の活動時間帯を推測することもできます。まあ、ゴミムシや羽アリ、バッタ等は救えませんが・・・。

今日はここまで。
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 ご存じの通り、ムネアカセンチコガネは糞に集まる糞虫ではありません。奈良公園にも生息していますが、40年間糞を見てきた私も一度も見たことがないので、本当にそうだと思います。で、今回は初めてFIT(フライト・インターセプト・トラップ)を試してみたら、すんなり採れたのです。FITというのは、虫が飛びそうなコースに透明の板を立てて、板にぶつかって落ちた虫を水盤で受けるという、ホンマかいな?!というような方法です。
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私は、その方法があることは以前から知ってましたし、その方法でかつては珍種と言われていた糞虫がコンスタントに採集される話も聞いていました。だけどねー、A3サイズの濁った半透明の板に、いるかいないかわからない虫がうまい具合にぶつかってポトリと水の中に落ちるなんて、そんなウマい話があるかいな、と心の底で思ってて、仕掛けを作るのも面倒だったので、ただの一度もやったことがなかったのです。
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 今回は、糞虫界のプリンス中谷くんの手ほどきを受けて装置を作り、過去に採集記録のある公園で、自分が糞虫だってらここを飛ぶ、と思う場所10ヵ所に仕掛けました。ボイントはズバリ、設置場所ですね。ムネアカセンチコガネは明るい草地に住み、また低いところを飛ぶので、草地の中のけもの道や樹木の間が狙い目。まぁ、騙されたと思ってやってみてください。
 その後、9/28日に採れたその場所で、またまたムネアカセンチコガネ2匹が追加で採れています。今更ながら、FITは優れた採集方法であることに驚いた次第です。ただ、糞虫以外にゴミ虫などが結構たくさん落ちていて、翌日回収しても半分くらいは溺れ死んでいるので、少し心が痛みます。

今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!

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